別ペンネームは難しい


 コメント欄でコップクラフトの名前が出ていて、思わず苦笑いしてしまった。私はコップクラフトのアニメは見たことがないので評価は避けるけれども、私にとってコップクラフトというと、ペンネーム関連で色々あった逸話が真っ先に思い浮かぶ。
 何の話かというと、前にも書いたことがあるとおり、コップクラフトが出版社を移籍する前の「ドラグネットミラージュ」という作品の話。最初、作者はきぬたさとしという人になっていたのだが、これが実は賀東招二さんの別ペンネームだったということを、2巻の後書きで明かしたというエピソードのことだ。その理由は「フルメタルパニックを完結させるまでは他の作品を書かないという約束をしていたから」となっている。とはいえ、あの推理小説の大家であるアガサ・クリスティですら、メアリ・ウェストマコットで居続けることには失敗しているくらいなので、別名義を貫くのは最初からかなり難しい話だったと思われる。



 また、これに関する事実を明かした経緯についても、当時かなり納得いかなかったのを覚えている。「この作品はきぬたさとしという人ではなく、賀東招二さんが書いた作品だ」というのは、本人の口から、ドラグネットミラージュの2巻の後書きで明かされた事実だけれども、ちょっと考えてみるとこれはおかしい話である。
 例えば、ドラグネットミラージュの大ファンでフルメタルパニックのことを知らない読者を想定する。この人に対して、2巻の後書きで「『フルメタルパニックを完結するまでは他の作品を書かない』という約束をしたので、別名義で出していましたが戻します」という謝罪そのものが意味がない。この人にとっては、フルメタルパニックという作品は全く興味のない、知らない作品だからだ。
 ここで逆に、フルメタルパニックの大ファンだけれどもドラグネットミラージュは一切読まないという読者を想定しても、やはりこの謝罪は全く意味がない。何故ならドラグネットミラージュを読まないため、この謝罪そのものを目にする機会がないからだ。
 つまり、最初に別名義を使ったこともよくわからないし、それに対して事実を明かして謝罪に至る経緯も、私には理解できなかったのだ。


 賀東招二さんは割と好きな方の作家さんではあるが、今にして思うと、確かにフルメタルパニックは完結させたものの、他の作品はどれも完結していない。完結させるまでは他の作品を書かないとまで言っていた人が、他のシリーズは一切どれも完結しないままになってしまってるという状態だ。いつかは完結させるつもりなのかもしれないし、責めるつもりはないが……ただ、そもそもブリリアントパークに限っていうと、設定からいってあまり長く続けることを想定したシリーズにも見えないのだけれども。

その棚は実家にあったよ

 近況を知ろうとフラフラしていたらこんなのを見つけた。




 私もかつてコレクターだったから負けないぞ……などと言いたい訳ではなく。
 賀東さんの方で私が驚いたのはMERPじゃなくてむしろ黒箱(クラシックD&Dのマスタールールセット)。これはなかなか貴重だ。そしてそれに輪を掛けて驚いたのが友野氏の棚に見える深淵、セブンフォートレス、そしてエルジェネシス。まさか友野氏がFEARのゲームを買っていたとは……。ちなみに賀東さんが大活劇を持ってなくて負けたと言ってるけど、それは当然といえば当然というか、大活劇は友野氏にとってみれば自社製品だし。