中段攻撃とは


 「ジャンプ攻撃で表ガードか裏ガードかを惑わせるような位置でジャンプする攻撃のことを「めくり攻撃」と呼ぶ」というのは、これは格闘ゲームのことをあまり知らない人でも、イメージとしては掴みやすいと思う。これはゲーメストが発信源ということになるのだろうか。元々の語源は、背中の皮をめくるように攻撃するから、ということらしいが、それもなんとなく分かるし、逆に他に別の用語で呼ぼうと思うとあまり適切な用語が浮かばない。
 これに対して非常に分かりづらいのが中段攻撃だ。当初はジャンプ攻撃はしゃがみカードできないという整理だった。しかし、立ったまま撃てる中段攻撃が実装されてから、ジャンプ攻撃といわゆるしゃがみガードができない攻撃を区別する必要が出てきた。そこで中段攻撃という言葉が生まれたと記憶している。
 上中下という言葉からすると、上と下の間にあるのが中段攻撃のような印象を受けるものの、実際には立ちガードもしゃがみガードもできる攻撃が上段攻撃で、立ちガードしかできないのが中段攻撃、しゃがみガードしかできないのが下段攻撃というのは、感覚としては非常に分かりづらい。上段と中段が逆じゃないかという気がしてしまう。
 では、中段攻撃が何故そう呼ばれているかというと、上の経緯のとおり、上段攻撃と下段攻撃は中段攻撃が生まれる前からあったからだ。上段でも下段でもないということで、中段攻撃という言葉が生まれたのだろう。少なくとも当時ゲーメストを読んでいた私はそういう感覚だった。

 ただ、このジャンプせずに出せる中段攻撃は当時は割とレアで、初代ヴァンパイアのオルバスのしゃがみ大パンチ、そしてストリートファイターゼロリュウのレバー入れ中パンチ(鎖骨割り)以外には、あまり存在していなかったような気がする。



(この動画だと冒頭のビクトル戦でいきなり使用している)


 そもそも発端となったオルバスのしゃがみ大パンチは当時かなり問題になった攻撃で、鎖骨割りと違って発生までが早く、しゃがみから出せる足払いと中段攻撃の大パンチが完全な二択。特に小足払いからしゃがみ大パンチという、下段攻撃→中段攻撃を起き上がりに重ねられると、避ける手段は無敵技以外ほぼ存在しなかった。恐らく製作者もあまりにもお手軽すぎると思ったのだろう。次回作のハンターでは通常の下段攻撃に属性が変更されたという経緯がある。