ホッとした


 今回のメガモンスター「キラーマジンガ」は難易度星4、散々苦戦したオムドレクスと同レベルの強敵だ。Youtubeには「この戦法で余裕」なんて動画も溢れているが、(装備や心の関係で)とても模倣できない私には、難敵であることに変わりはない。
 これまでの経験から、ソロで戦うのはなかなか厳しいとわかっていたため、必ず他のプレイヤーと合流できる場合だけ戦っていた。完全にソロになりそうな場合には、支払った討伐手形を無駄にしてでも、あえて戦わない場合もあった。特に外出中に戦う場合は、ほぼ勝てないとわかっていて時間を無駄にするよりは、さっさと次のアイコンを見つけた方がいい場合も多い。
 とはいえ、苦戦しているのは他のプレイヤーも同じようで、戦っていると他パーティの全滅ログを見る機会が他のメガモンスターより多いように感じる。

 先日もそんな感じだった。最初4人で戦い始めたのに、全滅して諦めたのか一人減り二人減り、最後は自分一人しか残っていなかった。何度も全滅の危機に陥り、悪戦苦闘しつつ、なんとか倒す──そんな時に、ポロっとSランクの心がドロップしてくれると、喜びもひとしおである。半ばムキになっても戦い続けた甲斐があったというものだ。
 そして……この状態から、Sランクの心をもう一個手に入れるべく頑張るモチベーションを保つのは、至難の業である。一個手に入れたんだから、もういいんじゃない? という悪魔の囁きが耳を離れない(笑)。

ダブルムーン伝説の思い出


 先日、ダブルムーン伝説というTRPGについて、雑誌連載という観点から当時の経緯を紹介した。では、実際TRPGとしてはどうだったか、当時私がいたプレイグループでの経験を踏まえて書こうと思う。
 書店取扱のムックタイプのTRPGで、しかも雑誌連載記事を元にした完全新作というと、ロードス戦記コンパニオンと似たようなゲームに見える。
 しかし、一度キャラクター作成でもやってみようということで、仲間たちにルールの説明をしようとしたところ「基本キャラクタークラスが戦士、聖戦士、魔法戦士、司祭と魔術師」と説明したところで、プレイヤーたちは何かを察したような表情になった。
 プレイヤーたちが連想したのはハイパー・トンネルズ&トロールズというゲームだった。最初から戦士と魔法使い・僧侶のハイブリッドジョブが選べること、盗賊の能力に重きが置かれていないことなどに共通項を見出したようだ。ダブルムーン伝説の場合は、オプションルールで盗賊を選べるが、あくまでも選択ルールである。



 また、戦士や盗賊の能力が魔法として整理されていて、戦士が使えるファイターマジックや、シーフが使えるシーフマジックというものが存在する。この点はワープスに近い。ワープスも、例えば忍者はニンジャマジックという魔法を使う職業とされていたからだ。
 このゲーム、「魔術師、司祭、神霊術師、治療術師、賢者、呪術師」など、魔法使い系の職業がたくさんあり、魔法使いに重点が置かれたゲームのように見えるが、実際には魔術師の使える魔法が「全部で」14しかない。これは他の魔法使い系クラスも似たようなものである。ちなみにダンジョンズアンドドラゴンズの場合、レベル1魔法だけで13あり、それがレベル9まで存在する。
 つまり、魔法使い系の職業のバリエーションが豊富というより、ダンジョンズアンドドラゴンズでいうマジックユーザーが使える魔法を細分化して、別の職業でないと使えないようにしただけのように、プレイヤーからは見えてしまった。しかもこのゲームには、マルチクラスも転職もない。

 ゲームマスターからすると厳しかったのは、行動判定が割と大味だったことだ。一般技能判定は存在せず、能力判定は難易度によってD6かD10かD20かD100を振って能力値以下を出すというものだ。言うまでもなく、D20とD100パーセントの間には成功率にして5倍の開きがあるが、その間というのが存在しない。

 面白そうなルールもあった。特に、ソードワールドがオミットしたアライメントルール、つまりPCがどのような性格で、どのような信条に則って行動するかを決めるルールが存在していたのはよかった。
 ただ、そこでダンジョンズアンドドラゴンズというところのカオティックにあたるアライメント(悪徳、憎悪、邪悪、混沌、死、虚無)が敵専用になってしまっており、PC達は世間一般的に善きものとされる属性(正義、愛、善良、秩序、生命、存在(?))しかほぼ選べない(中立のみ例外)ようになっていたために、ちょっとしたアウトローを気取りたいプレイヤーからすると、無理やり善人をやらされるゲームのように感じられてしまったようだ。

 結果的に、仲間内の評価としては、ダンジョンズアンドドラゴンズやロードス島戦記から乗り換えるまではいかなかった。キャラクター作成はしたものの、実際に遊ぶことはほぼなかった。ORGも課題を感じていたのか、次の版では聖闘士星矢サムライトルーパーのような、鎧系アニメ作品の再現ができるようなルール──それはもしかしたらかつてのワープスに近い形だったのかもしれない──に生まれ変わる予定だったというが……結局それは、世に出ることはなかったのである。