今年の1月に実装されたドラクエウォークの新職業、「魔人」。ブログでもそれとなく書いていたが、私自身はこの職業をあまり高く評価していなかった。
というのも、その前に実装された魔剣士が──私自身はあまり好きではないが──かなり強力な職業だったからだ。「物理攻撃も魔法攻撃も最強」というのは、職業(クラス)システム制を採るゲームのアタッカーとして考えられる限りほぼ最高の扱いである。新職業でこれを超えるのは厳しいのではないかと思っていたのだ。鳴り物入りで実装された割に、現在の評価が低い「ドラゴン」と同じ……とまではいかないまでも、「特定条件下の戦闘にのみ特化された職業」というのが、最終的な評価に落ち着くのではないか……と思っていた。
だが、実際に使ってみた印象はかなり異なっていた。「魔人」を一言で表すと、「カスタマイズ性の高い職業」だと思う。
ドラクエウォークというゲームは、元々カスタマイズ性の高いゲームである。これは、このブログでも今まで幾度も書いてきたとおりだ。これは「モンスターの心」という、このゲームの中核を成すシステムのためだ。これを複数個装備することでステータスをカスタマイズできるため「素早い大神官」や「ベホイミを使う大魔導士」、「意図的に行動を遅くした忍者」など、パーティ全体の構成を考慮して、プレイヤーの好きなように設定できる。
しかし、これだけ自由度の高いシステムにあって、今まで唯一カスタマイズできなかった要素というのが存在する。それが「武器」だ。ドラクエウォークはソーシャルゲームであり、武器や防具はガチャで入手する。従って、これをカスタマイズできてしまうと「ガチャを引く」という部分の根幹に影響が出てしまう。故に、キャラクターのステータスは自由に設定できても、武器の性能に手をつけることはできない。かろうじてできるのは「いきなりスキル」と呼ばれる自動発動スキルのオン・オフを切り替えることだけだった。
ところが、新職業の「魔人」は、左右の手に装備する武器によって、実質的に、ガチャから排出された複数の武器の性能を組み合わせることができるようになるのだ。
前に書いたが、最も分かりやすいのが「雷鳴の剣」だ。右手に持った武器の「いきなりスキル」が発動する関係上、右手に雷鳴の剣を持ち、左手に弱点属性の武器を装備すると「敵の弱点属性を突きつつ、MP回復能力を発揮する」という、非常に強力な組み合わせが出来上がる。
もちろんこれは雷鳴の剣だけではなく、例えば「いきなり守りの盾」という、ステータス異常への耐性スキルを持った武器を右手に、ヒットポイントを回復させつつ敵を攻撃できる「奇跡の剣」を左手に持てば「状態異常を防ぎつつ、ヒットポイントを回復させながら攻撃」なんていう組み合わせも実現できる。
また、いきなりスキルと攻撃スキルという組み合わせのみならず、例えばメタルキングの剣や魔力の宝剣のような複数属性を扱える武器を2種類両手に持てば、それだけでかなりの属性(例でいうと2+3で5属性)をカバーすることが可能だ。
ただ、これは片手剣という武器種が、比較的優遇されてきた武器種だからだ。多彩な能力を持った片手剣が実装されているため、色々な組み合わせを試すことができるのだ。他に短剣や槍、爪でも二刀流ができるが、他の武器種ではここまで有効な組み合わせは今のところに見つかっていない。
そんなわけで、当初力を入れて育てていなかった魔人を慌てて育てているような状態なのだが、これまで述べてきた長所を裏に返されると、魔人の強さが抑制されてしまうのもまた事実である。最も分かりやすいのは、二刀流可能な武器種の実装ペースが落とされることだ。二刀流が可能な武器では、いきなりスキルと攻撃スキルの組み合わせによって、想定外に有効な組み合わせが生まれてしまう可能性がある。運営としては、挑戦的な能力の実装にこれまで以上に慎重になると考えられる。
しかし、その事情を考慮してもなお、育てるに値する魅力がある職業であることは確かだ。