昨日の反対


 昨日「ナイトシティのギャングは、必要悪とは思わない」というエントリを書いたが、フィクサーに関しては──ゲームのメインストーリーやアニメだとロクなフィクサーがいないけれど──こちらは「悪だとしても必要悪」と言えると思う。昨日の続きで言えば「ナイトシティの影と光を結びつける調整役」といったところだろうか。
 フィクサーがいなければ、Vのようなならず者は、それこそギャングのように街の異物として排斥されるしかない。そういった存在を、街の一部として成立させるための存在がフィクサーだ。だからこそ、2020でもフィクサーはPCとして選択可能だったわけだ(もちろんNOVAにもクロマクというスタイルが存在する)。

デクスターは過大評価かそれとも……

 ところで、メインストーリーに登場するデクスタ・デショーンには、前から結構疑問を持っている。動画では「銃を撃ったことも、パルクールをしたことも、ネットランニングもしない」みたいなコメントがあったが、じゃあパドレとかワカコとかレジーナがそれらをしているかといわれたら、とてもそうは見えない。あくまでもローグが例外的な存在だというだけだ。
 むしろ問題は「本当はデクスターには人脈がなかった」というところだと思う。
 そもそもメインストーリーからして、エヴリンあたりに「フィクサー抜きで直接取引をしないか」という持ちかけられ方をしてる時点で「デクスターがいないと困る」と全く思われていなかったということ。それはつまり、デクスター自身に生かせるネットワークがなかったということだ。
 これに関してはエヴリンを警戒して渋っていただけと考えられなくもないが、加えて言えば、これから傭兵を裏切って口封じに消そうという時に、フィクサー自ら出てきて撃つっていうのは結構リスクが高い。本来は信頼する部下にやらせるべき行動だ。実際、Vはボディーガードに一撃食らってるのだから、そのままとどめを刺させればいい。その時自分がその場にいる必要性は全然ない。
 しかもどうやって逃げるか悩んでいるところを(殺そうとしてるVはともかく)ボディーガードにまで明かしてしまっている。傍にいた人間から見れば「いや、こいつはやべえ。とっととずらかろう」と誰でも考えるだろう。
 結局デクスターはタケムラにあっさり殺されるが、その時彼は独りぼっちだ。ボディガードには逃げられたか、タケムラに殺されたか。いずれにしても、タケムラから身を守れるような腕利きのボディーガードを、周りに置いておくだけのコネクションはなかったわけだ。

 そうなると不思議なのはむしろ、ジャッキーやデクスターの依頼を受けるまでの登場人物たちが、何故あれだけ彼を持ち上げていたのか、ということの方だ。態度を見てると、どう考えてもローグやワカコとやりあえるような大物には見えない。自分を大きく見せるのが上手い人間だったのか、それとも、ナイトシティに戻ってきたばかりという話もあったので、外にいる間に鈍り、ネットワークも失ってしまっていたのか。結局その辺りは、ゲーム内でははっきり語られないので、プレイヤーとしては推測するしかないのだが。
 もう一つ別の見方もある。それは、ゲーム開始時点ではほぼルーキーだったⅤが、レリック強奪のごたごたで、突然ジョニーやローグレベルの世界に放り込まれた、という可能性だ。相棒のジャッキーがデクスターの依頼を受けて「これでメジャーリーグにデビューだ」と息巻く、素人に毛が生えた程度の傭兵が、単にジャッキーとかかわったというだけでなく、それと融合したことで、知識や経験も含め(強制的に)そのレベルまで引き上げられた。融合後のⅤの視座はエッジランナーズのデイヴィッドなどを超えた、ジョニーやローグのレベル。その視点から見ると、デクスターは小物にしか見えない。そういうことなのかもしれない。