意外な視点だった

言われてみれば……! RPGの世界は球体じゃなくドーナツ型だった?


 そう言われてみれば、そうだ。


 とはいえ、この中ではマップの北から南へ、東から西へ抜ける地図を持つRPGが「一般的」と述べられているが、全てがそうだとは限らない。

 私はTRPGゲーマーなので、まずTRPGの話から入らせてもらうと、実は「世界全体を描写した地図」を持つゲームの方が少ない。TRPGの元祖であるD&Dをはじめ、多くのTRPGの場合、用意されている地図はあくまでも「既知世界」(ノウンワールド)の範囲を描いたものに過ぎず、その外にさらに大きな世界が広がっている。ガゼッタ(*1)、アレクラスト(*2)、エリンディル(*3)、ラクシア、ハイデルランド……これらすべてがそうである。
 これらについては世界が惑星という球体の上に存在するかどうかすら定かではない(むしろアレクラストの場合は「世界は平面状であり「果て」が存在すると明言されている)。もちろんそういった世界ならば上記のような矛盾は存在しない。
 そもそもファンタジー世界であれば、必ずしも世界が「惑星」上に存在しなければならない理由はない。それどころか、世界の果てがどうなっているのか描写する必要もない。特にTRPGにおいては、それがセッション中にフォーカスされない場所であるならばなおさらだ(*4)。


(*1)マスタールールセットに掲載された地図を見て、それまでのノウンワールドの小ささに驚いたDMは私だけではないだろう。


(*2)アレクラスト大陸の地図は世界の大半をカバーしていると解釈できなくもないが、クリスタニア大陸までを記載した地図はどこにもない。


(*3)エリンディル、アルディオン二つの大陸を包含する呼称が見つけられなかったので便宜上エリンディルと呼ばせてもらう。


(*4)これを逆手に取ったのが「テラ・ザ・ガンスリンガー」である。世界の西の果てを目指すのがPCの目的となっているものの、地図の西側大部分の設定はGMに任されており、表記されていない。逆に東部地方は詳細に記述されている。


 しかし……CRPGにおいては多少事情が異なる。CRPGのすべてに「世界の果て」まで描かれた地図が用意されているわけではないものの、「世界の果てまで移動できる手段が用意されている」ゲームは少なくない。それは何故か?(続く)