ファンタジー世界と図書館(3)

 さて、ではTRPGにおける図書館とはどのような扱いになっているだろうか。
 色々調べたところなかなか面白いことがわかった。

 まず、TRPGの元祖、ダンジョンズアンドドラゴンズ。全てのワールドサプリを調べることができなかったので、全部のワールドで、というわけではないが、少なくともフォーゴトンレルムと呼ばれる世界には図書館が存在することが確認できる(「クレリック・サーガ」に図書館を舞台にしたエピソードがある)。

<忘れられた領域> クレリック・サーガ 森を覆う影(D&D スーパーファンタジー フォーゴトン・レルム)

<忘れられた領域> クレリック・サーガ 森を覆う影(D&D スーパーファンタジー フォーゴトン・レルム)

 次にソードワールド。なんと、旧版においては公式に「フォーセリアに図書館は存在しない」ことが明言されたことがあるようだ。ネットの海から拾い上げた情報なのでソースにまでは当たれなかったのだが、どうもかの有名な(笑)、藤澤さなえさんのリプレイの監修コーナーで言及されたようだ(この辺)。「賢者の学院」が存在するのに図書館が存在しないことには少々違和感を覚えるが……原文に当たっていないのでコメントは控える(もしかしたら「一般人に貸し出しはしてない」程度の言及かもしれないので)。
 ソードワールドに存在しない以上、ロードス島クリスタニア大陸にももちろん図書館はないだろう。クリスタニアの場合はイメージがネイティブアメリカンの口承文化などに雰囲気に近いように見えるので、なくてもあまり不自然さは感じないが。
 なお、ソードワールド2.0はDS版で図書館が登場するらしい(この辺)。つまりラクシアには図書館が存在する。

 次にアリアンロッドRPGはどうか? リプレイ・ルージュでラインの図書館について言及されているので、図書館は存在する。アリアンロッドの世界は割とコンピュータRPGのごった煮的な世界なのであって当たり前という気もする。



 アルシャードffの場合もっとぶっ飛んでいて、図書館「だけ」しかないルートワールド(「読み手知らずの図書館」)がある。この存在を抜きにしても、ミッドガルドにおいては帝国が図書館を持っているだろう(文化レベル、技術レベルからいって)。ブルースフィアに関しては言うまでもない。
 実際のヨーロッパの歴史に最も近いと私が考えているのがブレイドオブアルカナである。ハイデルランドでは「天慧院」と呼ばれる多数の書物を保有する機関がある。元々は教会の地下図書館「デ・プロフンディス」の蔵書を開放する目的でフェルナーレ大聖堂の鐘楼を改装して造られた図書館と、それを守り研究する人々のことだった。しかし教会の主流派と天慧院の間で教皇の擁立も含めた主導権争いがあり、現在の天慧院は教会からも中立的な組織として独立している。これはアルカナ(キャラクタークラス)の違いでも表されている(教会の聖職者がマーテル、天慧院の学者はアクシス)。詳しくはランド・オブ・ギルティ20ページのコラム「四賢者・天慧院設立に関わる教皇たち」に記載されている。


ランド・オブ・ザ・ギルティ

ランド・オブ・ザ・ギルティ


 ちょっと変わったところでは、トンネルズアンドトロールズには「恐怖の図書館司書」なるモンスターが登場する。デザイナーであるケン・セント・アンドレが図書館司書だからだろうか?


 以上、一部のゲームであるが、ファンタジーTRPGにおける図書館の扱いについてごく簡単な範囲で調べてみた。では、ファンタジーTRPGにおける図書館とはどのようなものなのかについて、次回触れたいと思う。