なんかデジャヴ

Role&Roll Vol.146

Role&Roll Vol.146


 今回のツッコミタイムは発売前のゴーストハンター03である。といっても、実際の製品は発売前なので、雑誌記事に掲載された範囲でのツッコミとなる。それにしても「ボードゲームの要素を取り入れたTRPG」って、友野氏は前作の“ファイヤード!”をどう評価しているんだろうか。
 この「ウロボロスシステム」とかいう、GMと全プレイヤー共有のリソース。これがボードゲームっぽい要素なんだろうけど“新星界スターロード”だとか“りゅうたま”といったゲームを遊んだ経験からいうと、上手く回すのは至難の業だと思う。

 以下は、それらのゲームの経験談である。

プレイヤーから見ると

 まず、プレイヤー視点でいうと、プレイヤーはセッション中は「自分のリソースを管理」しながらロールプレイをするのに精一杯で「共有のリソース」、ましてや「GMと共有のリソース管理」にまで気を配る余裕がない。また、りゅうたまの時にも感じたが、この「GMとプレイヤーで共有するリソース」は、いくら本文内に「GMとプレイヤーは対立する立場ではない」と何回も書かれても、必然的に対立を誘発する。
 すると、プレイヤーはどうするかというと「自分たちが不利になってもいいから、可能な限りGMにリソースを与えない方向」で動く。これは面子を変えてもタイトルが変わってもほぼ同じ傾向だった。考えてみれば当然で、プレイヤーのリソースはGMに把握されている上に有限なのに比べて、GM側のリソースはプレイヤーから見えない上に上限がない。また、GMにリソースを与えることによって「自分が原因で」セッション失敗の要因を増やすことを、普通のプレイヤーは回避しようとする。
 よって、プレイヤーの立場は「共有リソースを欲しがらない=活躍する場面も手がかりも欲しがらない」となって、セッションの進行が停滞する。

GMから見ると

 次にGM視点。GM側は比較的、この共有リソースに注意を払う余裕がある。ロールプレイなどに気を配る必要がプレイヤーより少ないからだ。しかし、注意を払う余裕があっても、リソース管理のイニシアチブを握れないシステムであればGMにはどうしようもない。特にシナリオの進行がこのリソースに左右されている場合、GM側はストレスがたまる。セッションを盛り上げたい場面でもリソースがなければどうしようもない状況に陥ることがあるからだ。こうなると、システムはセッションを盛り上げるツールでなく、進行を束縛する不要なギミックに成り果てる。
 しかし、共有リソースについて情報を交換しようとすると、今度はプレイヤー側が行動を束縛されている印象が強くなる。リソースを処理するタイミングをGM側が指定するようなものだから当然だが。

 これらのジレンマをエレガントに解決する手段は、過去のタイトルにはなかったし、私にも思いつかない。GMという無限のリソースをもつプレイヤーが存在する、というのはTRPGとボードゲームの最大の相違点であり、これをボードゲーム的なアプローチで解決できるのか。少なくとも、記事からはそのヒントは読み取れなかった。