難しい……

トーキョー・ナイトメア 2 上級ルールブック

トーキョー・ナイトメア 2 上級ルールブック


 浅い感想とちょっと深い感想が一つずつ。

 まず、浅い感想。トーキョー・ナイトメアの舞台となる東京がどんな町なのか、そしてキャストたちは一体どういう存在なのか。これは、それこそリプレイのページ数を削ってでも基本ルールブックに記載すべきことだったと思う。


 そしてもう一つ、もうちょっと根の深い話。
 正直にいうと、私はこのトーキョー・ナイトメアのルールブックを読みながら「トーキョーNOVAって凄かったんだなあ」と実感している。

 昔、NOVA・Rが出たての頃、狂ったようにセッションをやりながら、よく仲間内で話していたことを思い出す。
 サイバーパンクとは、単なる「現代から続く未来像」ではない。サイバーパンクとは「デフォルメされた現代社会そのもの」なのだ。国家は消滅し、巨大企業は分かりやすく悪事を働き、警察は腐敗している。空を見上げれば酸性の雨が降り、ストリートは闇に包まれている。 皆「そんな未来が本当にやってくると思っていた」というよりは「漠然と感じていた不安を形にした」といった方が正しい。ルールブックにもそう書かれていた。「もう一つの未来、もう一つの世界」と。
 それが、本当の現代地球を舞台にするとどうなるか。デフォルメされていた部分が途端にウソっぽくなってしまう。デフォルメされたサイバーパンク世界だからこそ、10歳の少女が「それではこの部門は廃止します。異議は認めません。それでは次の議題を」とか言い出しても、プロの殺し屋は体に機械を埋め込んで何十人もの敵を一瞬で皆殺しにしても、「サイバーパンクだしね」で済む。これを現代地球で、東京でやったらどう感じるだろうか。
 言い換えれば、トーキョーNOVAは、サイバーパンクを免罪符にメチャクチャができた世界だった。そこからサイバーパンクという枠組みを取り払ったらどうなるか。私にはシナリオが思いつかない。掲載シナリオを読んでもピンと来ないのだ。
 しかし、前に書いたとおり、サイバーパンクというジャンル自体が一つの岐路に立たされていることは確かだ。だからこそ、難しい。オルタナティブ・サイトは、私は一つの答えとして受け取れたのだが……。