侍、忍者、巫女


 ファイター、クレリック、シーフって感じか……。MVの背景、段々凝ってくるな……。

新マップヤバい

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 敵陣側のタワー折りに行っただけでコレ(敵AR3機に取り囲まれ、タワーの攻撃との挟み撃ちに遭っている)とか、ヤバすぎるわ……。

せめぎ合う二つの血

ソード・ワールド2.5 ルールブックIII (ドラゴンブック)

ソード・ワールド2.5 ルールブックIII (ドラゴンブック)


 さて、怒りの日笑いの日ときて、今回は笑いの日その2にでもなるかと思ったけれど、ルールブックを読んで複雑な心境になった。というのも、誤解を恐れずいうなら、今回のルールブックからは、物凄い葛藤のようなものが読み取れたからである。


(以下、辛口になりますので折り畳みます。嫌な人は回れ右で)











 端的に分かるのは、P135の名誉点でコネクションを得るルールだろう。最初これを読んだ時には「SNEのルールにも遂にコネクションのルールが掲載される時代になったか~」と感慨に耽ったが、よくよく考えると、このルールの運用は非常に難しい。

 順を追って説明しよう。

 まず、このルールにはコラム(P137)で説明がついているが、そこには何故か「ルールを悪用したときの罰則」が書かれている。この時点で「なんだかなー」という印象なのだが、そこに──

 PCがNPCを便利使いしようとしたり、相手を尊重していないような言動や行動を繰り返したりするようなら、コネクションの喪失を警告するようにしてください。

 とあり──

 このときも、いきなりコネクションを喪失させるべきではありません。

 と書かれている。

 この最後の部分だけは評価できる。だが、言うまでもないことだが、そもそもプレイヤーがルールを悪用しようとしたとしても、能力を取り上げるのは望ましくない。その能力は、(原則として)プレイヤーがリソースを支払って入手した能力だからだ。コネクションを他のPCの能力に置き換えてみればわかる。「君のエネルギーボルトの使い方はよくないから、ソーサラー技能取り上げるわ」と言われたら、プレイヤーはどう感じるだろうか? また、先程「原則として」と書いたが、GMはこれをPCに任意で与えてもいいことになっている。これも他の能力に置き換えれば、まずいことがわかるだろう(特定のシナリオ限定で、そのシナリオ限りで渡すならいいと思う)。
 プレイヤーが悪用しようとしたなら、使用を認めないか凍結すればいいのだ。取り上げる必要はない。この二つは全然違う。使用不許可や凍結なら制限されるのはその場だけだ。プレイヤーが反省して適正な使い方をすれば次のチャンスがある。取り上げてしまったら次のチャンスはない。一方的にリソースを減らされるだけだ(もっといえば「不名誉点」なるルールの存在そのものがどうかと思うが)。


 前置きが長くなったが、このルールの運用が何故厳しいか。それは、この「悪用したら取り上げる」そして、私が散々槍玉に挙げた「交渉ルールはTRPGの面白さをスポイルするもの」というデザイン思想に関係がある。
 このルールでは、NPCとの関係性は「0か100か」しかあり得なくなる。プレイヤーの要求を聞くか、聞かないかだ。「それはちょっと過大な要求だけど、運がよければ聞いてくれるかも」という反応が存在する余地がない。このゲームには交渉のルールがないため、NPCとの交渉を判定で決着させることができないのだ。
 元来、こういったコネクションのルールは、交渉のルールと一体的に運用されるべきものだ。TRPGにおける「判定」とは「0と100の間」にある事象の結果を乱数で決定するもの。そして、TRPGにおけるプレイヤーからNPCへの要求とは、往々にして──シナリオ中のその他の事象と同様──0か100かでは割り切れないことが多い。これはある意味仕方のないことだ。GMは万能ではなく、NPCに関する全てをセッションの限られた時間で描写しきることはできない以上、NPCに対するプレイヤーのイメージと、本来のGMの設定にズレが生じるのは当然だ。
 その「0と100の間」の事象についても、このルールだとGMには「要求を聞くか門前払いするか」しか選択肢がない。


 私が葛藤を感じるといったのは、つまりこういうところだ。本来、基本ルールブック1にあるように「交渉はNPCの性格や背後関係を元に決定されるべきもので、ルールで規定するべきではない」というポリシーに基づくなら、今回のルールブック3にあるコネクションルールも存在し得ない。それもまた同様に、ルールではなくNPCの性格や背後関係を元に決定されるべきものであるはずだからだ。そこにデザイン思想の乖離、矛盾がある。
 ただ、私はその矛盾を全面的に否定はしない。ソードワールドは、旧版の時代からそういうゲームだったのだ。3人のデザイナーが役割分担してデザインした結果、「モンスター側の判定値を固定値にすることで、GMがダイスを振らないでも戦闘ができる」ほどプレイアビリティを重視していながら、なぜか煩雑なだけの「仲間を誤射する」ルールがある。その矛盾や葛藤から、新しいものが生まれることもある(誤射ルールはいらないと思うけど)。
 しかし、ここではそれがいい方に働いているとは思えない。コネクションをルールで規定するならなおのこと、交渉ルールは存在するべきだった。


 実は、こういった矛盾は他にもある。例えばP129の構造物の破壊ルールだ。これもコラムが設けられている。
 まず、このコラムタイトルが「何もかも壊す必要はありませんよ?」という「読者を馬鹿にしてるのか?」と思わず言いたくなるようなセンスなのはひとまず置いておこう。
 内容としては──

 (略)構造物を配置し、PCたちの戦術に制限をかけてみるのも一つの手段です(乱発はしないように心掛けてください。絶対に「楽しくない」です)。

と書かれている。「絶対」とまで言われている。
 これを読んだ私の感想はこうだ。「だったらそんなルールいらんだろ」

 これがAD&Dの「Dungeoneer's Survival Guide」やアリアンロッドの「ドレッドダンジョン」のように、ダンジョン内の冒険を拡張する追加ルールで追加されるというなら、まだわかる。
 しかし、このルールブックは、ソードワールド2.5の3分冊の最後、超高レベル帯やアルケミストの賦術やライダーの騎獣を扱う大事なルールブックだ。載せたいルール、データは他にも沢山あっただろう。それらを差し置いてまで、わざわざこのルールブックのこの部分に、デザイナー自ら「乱発はお勧めしない」とまでいうルールを掲載する意味があるのか?
 はっきり言うが、私は「ない」と思う。構造物を破壊できるようにしたところで、超高レベル帯のセッションが面白くなる要素が思いつかない。また、ルールブック内にサジェスチョンもなく、ただ「GMがゲームが楽しくなる方向になっていると確信するなら」このルールを適用せよという曖昧なフレーズがあるきりだ。
 乱発できないような、それも格別高レベル向けとも思えないルールを、高レベル向け魔法や装備、追加技能と並べて基本ルールに掲載する、これもまた「矛盾」ではないか。 


 ソードワールドは、確かに新しくなろうとしているのかもしれない。P94で、騎獣の運用を制限することについて注意を促しているところなど、その萌芽は感じる。ただ、その足を引っ張ろうとしている要素があるようにも見える。それを排除しろまでは言わないが、せめてルール内の葛藤や矛盾はセッションに影響のない範囲まで調整してもらいたい。何度も言うが、そのとばっちりを受けるのはデザイナーではない。現場にいるGMやプレイヤーたちなのだから。