これを救済措置なしでか


 これ、動画作者のオリジナル展開で救済してるけど、ゲーム本編だと普通に救いがない話だよな……。
 小学生とかでこれをリアルタイムでやったら、忘れられない記憶になりそうだ。

スピード感……


 ソニックなんだから、マリオカートよりもうちょっと速めにして、スピード感出してもよかったと思うんだ。
 しかし、ポポナさんはこれ本当に遊びながら喋ってるのかな。実況やってる人はそれが凄いよ。ゲーム遊びながら喋るのは私にはとても無理だ。

コロコロ少年の思い出(9)

 前に「もう一人のピコピコ~」でも書いたけれど、私は少年時代、学習塾に通いながら、合間を縫ってアーケードゲームをやっていた。しかし、そこは貧乏学生。コインが尽きることもある。そんな時は、学習塾の近くの本屋でゲームやTRPG関係の本を立ち読みするのが常だった。
 ある時、店頭でTRPGの記事を載せていた頃のタクティクス(RPGマガジンの前身)を立ち読みしていたところ、突然話しかけられた。
「君、TRPGするの?」*1
 驚いて振り返ると、見覚えがある顔だった。見覚えがあると言っても、塾で数回すれ違ったことがあるという程度。聞けば私より1つ上の先輩だという。

 以来、私とその先輩は、顔を合わせるたびにTRPGについての雑談をするのが日課になった。駅前で、塾の廊下で。授業の前に、授業が終わった後に。
 ただ、セッションをしたことは一度もなかった。その頃、最初のプレイグループの仲間は皆受験勉強などで忙しくなっていて、次のメンバーは見つからない状態だった。先輩も似たような状況だった。いや、私より受験が差し迫っている分、より厳しい状況だったとも言える。

 せいぜい10分かそこらの立ち話で話せることなど、たかが知れている。ただ、お互いに「TRPGをやりたいんだ!」という熱意は同じだった。ある時私は口を滑らせ、玩具屋を巡ってもなかなか探しているゲームが見つからないことを愚痴った。
 先輩はしばし考えると「じゃあ、一度家に来る? 持ってるゲームを見せてあげるよ」と言った。
 願ってもない話だった。私自身、一緒に遊んでいる仲間(コンベンションを含む)以外の他人が持っているルールブックを見る機会などほとんどなかった。しつこいようだが、インターネットがない時代である。買えないゲームの情報は、雑誌くらいでしか手に入らなかった。

 先輩の家は、私の自宅に比べると学習塾に程近かった。家に招かれ、持っているゲームを見せてもらった。といっても、貧乏な学生というのは同じで、高価な未訳ゲームが山ほどあったわけではない。D&Dや文庫ベースのゲームなど、ラインナップは私のそれと似たようなものだった。
 そのなかで一つだけ私の目を惹いたゲームが、ストームブリンガーだった。私はこのゲームのことをほとんど知らなかった。同じBRPであるルーンクエストのことは知っていたが、まだ持っていなかった。D&DともT&Tともソードワールドとも違う、陰鬱で退廃的なファンタジーの世界。


MICHAEL MOORCOCK'S ストームブリンガー (ログインテーブルトークRPGシリーズ)

MICHAEL MOORCOCK'S ストームブリンガー (ログインテーブルトークRPGシリーズ)

(これは改版後のブックタイプのもの)


 私がそのゲームを熱心に見ていたのがわかったのだろう。先輩は唐突に言った。
「興味があるなら売ってあげようか。箱はないけど勘弁してね」
 いいんですか? と私が聞くと、先輩は笑った。
「実は、いよいよ受験が近いし、それが終わったら引っ越すかもしれないんで、持ってるゲームを処分しろと親に言われてるんだ。捨てるくらいならあげるほうがいいだろう」
 寂しそうな様子はまったくなかった。いつか言われることは分かっていた、そんな感じだった。

 長時間、家にお邪魔し、帰り際にも引き止められて、駅への道々でとめどなくゲームの話をした。先輩は、セッション経験は一度もなかった。でもやりたいシナリオのアイデアは山ほどあったらしく、あんなシナリオやこんなシナリオをやりたいと熱っぽく語っていた。T&Tの戦闘の大味さに戸惑い、バルサスのガンジーの酷さに憤り、WARPSの「実は持っていた」のネタで爆笑した。
 
 先輩とTRPGの話をしたのは、それが最後だった。以後は、すれ違っても会釈するか、関係ない話をする程度で、それ以上の話はしなかった。試験シーズンになり、上の学年が姿を見せなくなったのが最後。その先輩と出会うことは二度となかった。
 ずっと後になって、自分の受験も終わった頃、一度だけ先輩の家を訪ねようとしたことがある。今考えれば、事前に何も言わず突然訪ねるのは無礼だったかもしれないが、家の電話番号を知らなかった。
 マンションのその部屋の表札に知らない名前が掛かっているのを確認して、私は踵を返した。


 そして私は、その後ストームブリンガーを遊んだことは一度もない。先輩の意思には反するかもしれないが、ルールブックを開くと彼のことを思い出してしまうので、シナリオが作れなかった。
 あの人は、引っ越し先でTRPGに再会できただろうか。あの日語っていたシナリオを、どこかの誰かに披露できただろうか。そうであることを願っている。ルールブックを譲り受けてしまった私がこんなことを言うのもなんだが……。


 このところ、しんみりする話が続いてしまったので、次はお馬鹿な話でも。

*1:この頃にはまだTRPGという言葉はなかったかも。