1年以上かかるシリーズ


 広告されていた最新話を見たのをきっかけに、第1話からちょっとずつ追いかけている。
 世界樹みたいに人によって攻略パターンがまるで違うRPGは、人のプレイを見ていても面白いし参考になる。

これはビスマルクかグラーフ

kancolle.doorblog.jp


 ツインテ以外はビスマルクそのものだと言いたいけど、それ以前になんでグラーフの名前がまったく出てこないんだ!(笑)
 

コロコロ少年の思い出(24)・「ヴィランが欲しい・後編」


 ヴァンパイア。知性が高く、数々の特殊能力から、単に「レベルが高い」というのを越えて手強い相手。PCたちのライバルとして、憎まれるべきヴィランとして相応しい相手。
 ただ、このヴァンパイア。私がCD&Dでどうしても納得のいかない、嫌いだった要素と深く関連のあるモンスターでもあった。

 それは「エナジードレイン能力」である。


 ヴァンパイアに限らず数種類のアンデッドモンスターだけが持つ能力で、攻撃が命中するとレベルを吸い取られるというものである。私はDMでありながら、この能力が大嫌いだった。
 理由は簡単だ。エナジードレインは、プレイヤーの努力を摘み取る能力だからである。TRPGにおける経験値とは、DMがプレイヤーに与えた報酬だ。金銭がPCに対して与えられるものであるのとは対照的である。また、金銭が「消費していく」ものであるのにたいして、経験値は「積み重ねていく」ものであるのも対照的だ。
 経験値は基本的に冒険を続ければ「増え続ける」もので、増えないことはあっても減ることはない。この原則を、レベルドレインは覆す。さらに、一般的なダメージであれば、PCが成長すればするほど「同じダメージ」の効果は相対的に低くなるのに対して、レベルドレインはネクスト経験値が増大していく関係上、レベルが上がれば上がるほど脅威が増す。しかも、その穴埋めをするためにはCD&Dのシステムだと「プライズとしての金銭」を大量に報酬として出さなければならない。また、奪われたものを取り返すため、プレイヤーも焦るし無理もするようになるだろう。
 一時的にプレイヤーを脅かすことはできるかもしれないが、長期的に見るとこの能力がキャンペーン全体に与える影響は決してプラスとは思えなかった。ラストモンスターで装備が失われても金銭で買い戻せるのに対し、失われた経験値は「積み直す」ことでしかリカバーできない(少なくとも9レベル/レベル4僧侶魔法までの範囲では)。


 そう考えたのは恐らくDMだけではなく、プレイヤーもだった。私以外のDM(珍しく!)がレイスを登場させたところ、プレイヤーたちの目の色が変わったのだ。「接敵せずに」相手を倒すため、文字通りありとあらゆる手段(ルール内外を問わず)を駆使しようとする。最後には「エナジードレインモンスターが出た時点で探索を辞めて引き返す」という選択までいった。とはいえ、私は他のプレイヤーを責める気にはならなかった。先に進んで得られるものより、失うものの方が大きくなる可能性を考えたら、先に進む気にならないのも無理はない。
 しかし、モンスターの一覧に、ヴァンパイア以上にヴィランに適役なモンスターはそのレベル帯では見当たらなかった。
 仕方なく、私は別の手段を取った。ルールブックによると、ヴァンパイアに手がかすったとかそういう理由ではレベルドレインは起こらないとされている。特殊な触り方をしなければレベルは減らないのだという。であれば、違う攻撃方法を持てばいい。
 というわけで、PCたちが持つインテリジェントソードの「敵」となるインテリジェントソードを出し、ヴァンパイアはそれで攻撃してくることにした。その威力がそれなりに高ければ、あえてレベルドレインを封印して剣を使ってくる理由も立つ。
 ただ、端から見ると「魔剣持ちのヴァンパイア」をPCのライバルとしてぶつけてくるDMは、かなり厨二病が入っていた、とは思うが……。


 なお、PCのライバル的な存在にならないかと、一度だけトロールを登場させたこともある。エナジードレインは持っていないし、豊富な特殊能力を持つからプレイヤーたちも脅威を感じてくれるのではないか、と。
 だが、こちらの目論見は失敗した。レイスも似たようなものだが、トロールにまともにダメージが与えられるのが「魔法だけ」となった(炎が出せるのが魔法のみ、酸の攻撃手段はなかった)時点で、プレイヤーたちはまともに戦闘をしてくれず、ルール外のありとあらゆる手段を駆使してトロールを無効化しようと図ってきたのである(例、挑発して川に落とす、戸板をバリケードのようにして周りを取り囲んで罠付きの落とし穴に誘い落とす、など)。
 CD&Dには「特定の手段」でしか傷つかないモンスターが何種類か登場するが、それらを登場させるとどういう反応を示すかが如実にわかった一件だった(笑)。