ブレイドオブアルカナのシナリオの話(6)


 前回の続きである。
 「殺戮者を作成できれば、シナリオ作成の大半が終わる」と書いたが、アルカナを決定しただけで殺戮者の作成が終わるわけではない。前回のエントリで、セッションの前々日なら、と書いた理由がそれである。殺戮者の作成はPCの作成とほぼ同じ流れであるため、PC1人を作成するのとほぼ同じ時間がかかる。仮にカード4枚からアイデアを得たとして、それで作れるのは骨格だけで、その後のデータ部分については作成する必要がある。
 殺戮者の作成方法はPCの作成とほぼ同じだが、異なる部分もある。殺戮者はPCと違い、展開ステージで特技を使用しない。そのため、最低限必要なのは悪徳シーンの演出と、対決ステージでPCと戦うための戦闘能力である。

悪徳シーンの作成

 展開ステージでは、どのように悪徳シーンを演出するかについては決めておく必要がある。しかし、これには殺戮者自身のデータの裏付けは必要ではない。あくまでも、殺戮者がどんな人物なのかというのを表していれば良い。
 先日作成した殺戮者で考えてみよう。現在のアルカナから推測すると、この殺戮者は射手である。よって人々が矢襖にされて殺されているシーンがあれば、それで悪徳シーンになる。無差別の殺戮シーンでも良いし、特定の人間を暗殺するというシーンでも良いだろう。
 ここで悪徳シーンの演出について留意しなければならないことが一つある。それは、どのような悪徳の演出であったとしても、「事態が終わる前」のシーンを演出するのは望ましくないということだ。
 悪徳は悪徳であって、未然に防止されてしまうとそれは悪徳ではなくなる。つまり「PCの手の届かないところで事態は終わっている」という演出でないと、プレイヤーとしては目の前で事態が進行しているのに手を出すことができないことになり、フラストレーションがたまる。PCの行動によってシナリオの展開が変わるというのは別に構わないが、悪徳シーンでそれを行うのはよくよく注意が必要である。

殺戮者の戦闘能力

 殺戮者の戦闘能力について、最初に決定しなければならないのは「殺戮者がどのような手段でPCを攻撃するか」である。ブレイド・オブ・アルカナだと、大きく分けて「白兵攻撃」「射撃攻撃」「魔法攻撃」の3種類に分かれる。
 これは、殺戮者が持つ現在・過去・未来のアルカナによってどれが得意かが変わる。ゲームに慣れないうちは、1人の殺戮者が複数の攻撃手段を持つのはやめておいた方がいい。このゲームでは、3種類の攻撃によってそれぞれ有効な特技も奇跡も異なるためだ。
 アルカナによって、装備と特技が決定される。装備を先に選び、それに従った特技を選んでもいいし、最初に特技を選んで、それに見合った装備を持たせても良い。この時、一風変わった武器を持たせたりすると、インパクトのある殺戮者を演出することができる。
 殺戮者のメインとなる攻撃手段が決まったら、それを扱う技能を習得し、対応する追加ダメージを与える特技などを習得していく。PCの作成と異なる点は、殺戮者は基本的に特技の代償、DPの減少を気にかける必要がない点である。
 また、特技の習得にあたって、せっかく3つのアルカナがあるのだからとそれぞれのアルカナから特技を取りたい気分になるが、今回のように最初のアルカナの組み合わせをランダムで決めたりした場合、それぞれの技能が噛み合う可能性は低いだろう。意図的に相性のいいアルカナを選択している場合、例えばアダマス・アルドール・ディアボルスとか、グラディウス・ルナ・フィニスなどのように相乗効果のあるアルカナを選択した場合を除いては、あまり気にする必要はなく、1つのアルカナから集中して特技を取ってしまって良いと思う。