確かにこれは驚いた


 Youtubeの公式広告にぺこらとあやめが出た時には一瞬目を疑ってしまった。
 なお、ファンメイドでこんなバージョンもある模様。


ファンタジーTRPGの食事事情(5)

Role&Roll Vol.199

Role&Roll Vol.199

  • 発売日: 2021/04/21
  • メディア: 大型本


 さて、一昨日のエントリの続きである。
 今回は、実際のセッションのどんな場面で食事シーンを挟むのがよいか、実例を挙げてみてみよう。ここでは便宜的に、ブレイドオブアルカナの場面分けの用語(導入ステージ、など)を使うが、適宜ゲームタイトルごとに読み替えてほしい。

導入ステージ(オープニング)

 これが一番順当だろう。シティアドベンチャーであれば、依頼人から依頼を受ける場面。(2)で述べたように、シーンに目的を設定すること、そして描写を事前に作っておくことを想定するならば、導入ステージであればPCの行動によって場所やシーンの内容が変化、分岐する余地も少なく、GMが意図したとおりの演出ができる可能性が高い。
 コラムの内容に近いのは依頼人が貴族の場合だが、貴族に限らず、一般人からの依頼でも、あるいは酒場の主人の奢りでも、様々な場面で食事をするシーンの演出はできる。ただ繰り返しになるが、問題なのは「そのシーンで何を伝えたいか」だ。貧しい食事なのか、豪華な食事なのか、珍しい食材があるのか、平凡な食材なのか。
 例えば、前に紹介したゆっくり霊夢のD&D5eのように、レベルが上がるごとにホームタウンを転々と移動していくキャンペーンであれば(D&Dはこの形式が多い気がする)、徐々に食材が豊富になっていくことで、流通が多くなっていく→町の規模が大きくなっていくことを示すなど、色々な情報が伝えられる。この場合重要なこととして、あまり遠回しに匂わせるだけだとプレイヤーに気づかれないことがあるので、はっきりと「町が大きくなったから食事が豪華になった」と言ってしまって構わないだろう。

終局ステージ(エンディング)

 終局ステージもまた、プレイヤーの行動によって分岐することの少ないシーンだ(自由行動がしたいなら個別エンディングですればよい)。ここではシナリオに関する情報を与えることを考える必要はない。目的はズバリ「成功報酬の一部」である。ドラゴンランス2巻「城砦の赤竜」のエンディングシーンが象徴的だ。困難な状況を打破し、祝いとして皆で宴席を囲む。単に成功報酬を金で支払うだけよりは、滞っていた交易が回復したから、と豪華な食事が出る方が、プレイヤーの達成感も上がるだろう。導入ステージで貧しい食事シーンを演出し、落差を感じさせるなどするとなおよいかもしれない。

展開ステージ

 食事シーンを演出するにあたって、最もGMの個性が出るのがここだろう。既に導入(依頼)は終わっている。アクトは既に進行中。なのにあえて食事をするシーンを挟む理由。
 さて、今更だが、ここで大事なことが一つある。それは「食事をするのは誰か」ということだ。
 導入ステージでは問題になることは少ないと思うので、あえて取り上げなかったが、展開ステージにおいてはこれは重要な問題だ。食事をするのはPC側とは限らないのだ。
 秀逸な例として、黒野さんのゆるゆるD&Dを挙げておこう。


kurono42.hatenablog.com


 こちらのエピソード、冒頭の導入部分もPCごとの個性が出ていて素晴らしいのだが、途中に出てくるトロールの食事シーンの演出が、敵モンスターを単なる数値の集合体ではない血肉の通った存在にしている。しかも、SW2.0の基本ルール添付のシナリオの「ベッドで遊ぶゴブリン」のように半端に人間っぽい仕草ではなく、ちゃんと「こいつらは打ち倒さなければならない敵なのだ」とはっきりわかる描写なのが素晴らしい(昔のゲームブックなどの描写を思い出した)。やりすぎるとグロ表現になってしまうが、その辺りのバランス感覚もさすがだ。
 これは敵が食事をするシーンの例だが、他にもPC同士が情報交換するシーンとして食事をするシーンを選んだり、助けたNPCを落ち着かせるために食べ物を与えるシーンを申し出たり、プレイヤーから食事するシーンを提案される可能性もある。この場合、事前に描写を用意することこそできないが、プレイヤーの目的ははっきりしたシーンになる。この時メニューに何が並ぶかは、前回書いた「ダンジョンアドベンチャーなのか、ワイルダネスアドベンチャーなのか、シティアドベンチャーなのか」あるいはゲームタイトルによっても変わってくるだろう。

対決ステージ

 対決ステージは、NOVAでいうクライマックス。シティアドベンチャーなら、これから敵の本拠に乗り込んでいって戦おうというシーンであり、そこに食事シーンを挟むのはレアケースだろう。とはいえ、実はブレイドオブアルカナの基本ルールブックの冒頭のリプレイは、対決シーンに「食事」シーンがある──もちろんそれは、殺戮者の「悪徳」シーンだ。
 残虐さを演出する他にも、敵NPCがPCたちの面前で食事してみせ、そこから戦闘に移る、あるいは油断した相手を狙うために食事しているところをPCが急襲する、なんていう展開もあるかもしれない。