961プロの功罪



 もう何度も述べていることだが、私はライバルキャラクターが好きだ。その視点からいって、961プロの存在はとても素晴らしかった。アイドルマスターにおけるアイドルの育成が「オーディションによる勝負」を主軸においている以上、ライバルキャラクターの存在は必須といってもいい。そのライバルキャラクターが魅力的であればなおさらだ。
 同じ765プロダクションの仲間をライバルにするのは……悪くはないのだが、というか必然そうなるはずなのだが、むしろ戦友、友人としての結びつきの方がクローズアップされてしまい、どうしても「真剣勝負で戦う」相手として認識しづらい。これが「プロダクション同士が敵対し合うライバル同士」だと、本気を出して全力で戦おうという気概ができる。実際、コミック版のアイドルマスター・リレイションでは「魔王エンジェル」がライバルユニットとして登場している。
 そういう意味ではどことなく人のよさそうな(んでもって騙されやすそうな)響よりも、女王然とした貴音、そして欲しいものは手に入れると断言する若き天才・美希はライバルには相応しいと思う。彼女たちが765プロに戻っても、そこにはもう9人のアイドルがいて、12人のうちの1人にしかなれないのだ。
 961プロを「魅力的な悪役」「越えられない壁」「強大なライバル」として次回作につなげられなかったのは、次回作にとっても、765プロダクションにとっても非常に残念なことだったように思うのだ。