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先月号の「なぜなに未来侵略」のコーナーで、珍しく執筆者の小太刀氏に賛同できない意見があった。「前提変換」の話である。
読んでいない方のために説明すると、例として挙がっているのは「足がかりのない崖をよじ登る、『肉体』難易度20」という判定があったとして、プレイヤーが「自分はアイゼンを持っているので足がかりがあるはず」とか「前に登った人間がロープをたらして他の人間はそれを使って登る」と言った時、達成値に+2、あるいは難易度を10として判定を有利にする、というのを、記事内では「前提変換」としている。
もちろん、記事のなかでは「きりがないので際限なく認めないように」とか「誰がGMかわからなくなるような、勝手に結果を宣言するような判定は認めるな」とか、ストッパーは幾つもかかってはいるのだが……。
今の私だったら、これらの前提変換は一切認めない。
記憶力のいい人は「あれ? 前に『“すり抜け”でボーナスつけるのは望ましい』とか言ってなかったっけ?」と思うかもしれない。そのとおり。状況が変わったので認められなくなったのだ。
理由は言うまでもないことだが「朝霧カフカやらその眷属やらが暴れまくったから」である。
私が前に書いた「すり抜けでボーナス〜」は、GMとプレイヤー双方が善意に基づいたプレイングをすることを前提にしている。相手の裏を掻くような、自分の知識を自慢するようなプレイヤーがセッションに参加することは前提にしていない。こういったプレイヤーが混じっていると、プレイヤーの提案にボーナスを認めるのが非常にリスキーになるのだ。小太刀氏が述べているように「最終的にセッションを乗っ取られる」からである。
もちろん、私自身は幸いにしてコンベンションでそのようなプレイヤーに遭遇したことはない(目撃談は聞いたことがある)。そして、遭遇する可能性そのものは決して高くないと思っている。TRPGの性質上、そういったプレイヤーは一部の例外を除いて淘汰されていくからだ。*1もっと言えば、コンベンションならクトゥルフ、パラノイア、ログホライズンなど特定のタイトルを避けるようにすれば、遭遇確率はさらに下がる。
とはいえ、確率がゼロでない以上、リスクは避けたい。また、プレイヤーの提案を際限なく認めていくと、普通のプレイヤーをそういったモンスタープレイヤーに育ててしまう可能性もある。
誤解のないように付け加えておくと、私はプレイヤーの宣言を却下はしない。ボーナスをつけないだけだ。演出するのは自由である。アイゼンを持っているなら描写してもらって結構。ロープを伝って登るのも、別に問題はない。ただ、ゲーム上の難易度は、ルールブックに記載されていない限り変化しないとするだけだ。そうすれば、プレイヤーは「自分のPCに必要な演出」だけをするようになる。
ピザの配達人を装って相手を爆殺しようとするのは自由だ。ただし相手に狙いをつけて引き金を引くのと、難易度は変わらない。そうすれば、プレイヤーは「自分にとってカッコいい演出ができる方」を自然と選ぶ。前者でカッコよく演出できる自信があるというのなら、それでもいいだろう──ルールに則って処理ができるならば、だが。
もちろん、小太刀右京氏はこの辺りのリスクについて、私などより遥かに詳しいはずだ。だからこそ、記事の最後は「次回は口プロレスに対する対処について」で結ばれていた。なので、私はこれまで書いたような意見を一ヶ月留保してきたのだ。
ところが、一ヵ月後の今日、今月号のロール&ロールにはコーナーそのものがなかった(笑)。なので、一ヶ月遅れは承知の上で、私の意見をここに述べておく。記事の続きを楽しみにしている。
*1:だから、逆説的にいってそれらを多用するプレイ動画は「実プレイに基づいていない」のである。