エポックメイキングなキャラだった


 今一つ知名度や人気が低かったZEROシリーズを人気作に押し上げた立役者として、機会があれば一度書きたいと思っていた。

 冒頭にある「ファンに媚びすぎているとして開発でも賛否あった」というのは、当時のゲーメストか何かで目にした記憶がある。現役女子高生が、ストイックに修行を続けてきた格闘家とまともに戦っていいのか、という。確かに他を見回してみても、セーラー服のような「普段着」を着たキャラクターなんて一人もいない。

 しかし、それこそがよかった。さくらは「等身大」であることに意義があるキャラクターだったからだ。

 格闘ゲームの火付け役になったストリートファイター2は、それぞれのキャラクターに「国籍」が設定されている。日本の代表はリュウエドモント本田だ。道着を着た格闘家と相撲取り。しかし、彼らはプレイヤーにとって「身近な存在」だろうか? 格闘技を学んでいるような人でなければ、傍にはなかなかいない存在だろう。
 そこから、一気に「プレイヤーのすぐ傍にいる存在」まで近づいたのがさくらだった。ステージも世田谷区二丁目の、どこにでもあるような一軒家の庭先である(背景で弟らしき子供がゲームをしている)。

 また、グラフィックもよくできている。例えば、パンチ一つとっても、リュウのそれが脇を締めた隙のない構えなのに対して、さくらのそれは全力で腕を伸ばしているので、体格の割にリーチが長く感じる。動画でも言われているように、通常技が使いやすいキャラだ。半面、必殺技はリュウのそれより格段に性能が劣り、「リュウに憧れる」キャラ付けに合っている。

 そしてこれは、ZERO2で初めてストリートファイターシリーズに触れるプレイヤーを重ね合わせてもいる。ボタンを押すだけで出せる通常技が強く、使っているだけで楽しいのは初心者向きだ。初心者プレイヤーとストリートファイターシリーズの熟練プレイヤーの図式が、さくらとリュウの図式に符合している。
 つまり、求められているキャラクター性と設定とグラフィックと性能が全てマッチしている。非常に秀逸な造形だ。人気キャラクターとして支持され、その後本編シリーズに逆輸入されたのも納得だ。



 ちなみに、この流れはライバルだったSNKも辿った流れである。テリーやリョウといった、当時の一般的なプレイヤー層からかけ離れたキャラクターから、学ランを着た学生の草薙京とバンドマンの八神庵という、近しい存在へ。それでも二人は古の血筋に連なる選ばれた存在だが、さくらはそれをまた一歩進めた立ち位置にある。SNKでいう同じ位置のキャラクターは、矢吹慎吾だろう。

あーあ……

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 これを晩節を穢すと言わずに何というって感じ。バランの件であれだけスクエニと揉めたのに、便宜だけは図ってもらってたって最高にカッコ悪いな……。この人はもうどうしようもないけど、他に飛び火しないことを祈るよ。

マッチポンプかな?


 「世間でキャンプが流行していて、野クル以外の部がそれに便乗している」って、そのキャンプブームの立役者の一人であるゆるキャン△に出てくるとなんというか複雑な気分になるな(笑)。