画面から何から全部違うファミコン版はともかく、ナムコミュージアム版のドラゴンバスターは操作性だけちゃんと改善されてるなんて、全然知らなかったぞ……。
……ってことは、ナムコはドラゴンバスターの操作性に難があるということ自体は認識してたってことか。Switchでファミコン版を買ってやり比べてみようかなぁ。
ワープス(WARPS)に関する四方山話①
一昨日のエントリで書いたWARPSの話の続きである。過去のエントリでは「ワープスファンタジーに逆襲のシャアを導入しようとした変わったプレイヤーのエピソード」とか、ある意味で有名な(ふぃあ通の動画でも言及されていた)「決断力チェックと抑制力チェック」というちょっと変わったルールの話について触れたので、それ以外の話である。
そもそも何故ワープスだったのかというと、(これも書くのは二度目だが)当時クラシック・ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ(CD&D)の公式サポート雑誌であるオフィシャル・ダンジョンズ&ドラゴンズという雑誌に広告が掲載されていたからである。CD&Dの翻訳チームであり、同誌の編集者でもある大貫氏がワープスの制作者だったからだろう。CD&Dにちょっと飽きてきたプレイヤーが違うゲームをやりたいとなった時、1つの選択肢となり得る状況だった(ちなみに、しつこいようだがこの時まだソード・ワールドは発売されていない)。
15の能力値
ワープスファンタジーのシステムの特徴の一つに「能力値が多い」というものがある。その数はなんと15(基本システムで12、ファンタジーで精神力、ルックス、ラックの3つが追加される)。CD&Dなら能力値は6つしかないし、T&Tなども似たような数だ。後に他の色々なTRPGを触った身からしても、15というとちょっと多いように感じるが、実はワープスファンタジーの能力値には、普通のTRPGの能力値と異なる使い方をするものがあるので、一般的な意味での能力値は他のTRPGと大差なかったりする。
この15の中には、先述の「決断力」「抑制力」ももちろん含まれる。能力値の一覧をパッと見ると、他のゲームに比べて多いと感じるのが、PCの肉体的な能力を示す能力値ではなく、内面を表す能力値だ。例えば、CD&DであればINT(知識)とWIS(知恵)の2つしかないところ、(決断力と抑制力を除いても)「知力」、「判断力」、「記憶力」、「精神力」、「知覚力」と5つもある。
この5つを使い分けるとなると複雑そうだ。ところが、判断力と記憶力の2つもまた、決断力や抑制力と同様、「プレイヤーのメタ認知」に関わる能力値なのである。「判断力」と「記憶力」は、前述の2つとは逆に、プレイヤーにとって有利になるという意味でのメタ認知に関わる能力である。
「記憶力」と「判断力」
具体的には、「記憶力」は「プレイヤーが忘れていることに対して、プレイヤーキャラクター(PC)が覚えているかどうか」を判定する能力である。
例えば、「メデューサという魔物が出てくる」という話を聞いて、「その顔を見ると石になってしまうかどうか」というのを知っているかどうかなら「知力」で判定だが、麓の村で「顔を見ると石になってしまう魔物が出る」という噂を聞いたにもかかわらず、プレイヤーがそのことを忘れてしまっていた時に「PCは覚えているかもしれない」ということで判定するのが記憶力チェックだ。
当然、これはプレイヤーから判定を申し出るものではなく、GMが判定を指示するものだ。なぜなら、プレイヤーはその話が出たことそのものを忘れてしまっているのだから、自ら判定を申し出ようがない。よって、プレイヤーを助けるための判定である。
これと似たような関係なのが、「知覚力」と「判断力」だ。ルールブックの用例を見る限り、これは以下のように使用される。
PCが不在の間に自室を荒らされていたとして、それに気づくかどうかは「知覚力」のチェック。これは分かりやすいだろう。クトゥルフでいうところの「目星」判定だ。では「判断力」は何かというと、この荒らされた部屋に対して「どこがどのように荒らされたのか」「なぜ荒らされたのか」というシナリオのヒントを入手するための能力値である。
普通、他のゲームだとこれは「知覚力」の判定で合わせて情報入手するか、あるいはそれ以上の部分はプレイヤーの知識によってフォローされる部分だ。しかし、ワープスファンタジーでは「判断力」の判定に成功すれば、GM側からヒントを出していいことになっている。トーキョーNOVAでいうところの「シャーロック・ホームズ」という特技判定と一緒で、入手した情報からプレイヤーが真相に至れない時に、GMからヒントを得られるのだ。
これが通常の肉体系能力値、例えば「筋力」や「器用度」とどこが違うかというと、「扉が開けられるかどうか」を筋力で判定するのにはプレイヤーの筋力は関係ない。成功すれば扉は開き、失敗すれば扉は開かない。PCの内面を表す能力値でも「知力」は筋力と同じような扱いだ。
ところが「記憶力」や「判断力」の判定は、プレイヤーの状況が判定の要否に影響を及ぼす。記憶力の判定でいえば、そもそもプレイヤーが忘れていなければ判定の必要がなく、「判断力」に関しても、知覚力の判定で成功し、そこから正確に真相を導き出せていれば、「判断力」の判定を行う必要がない。
プレイヤーとプレイヤーキャラクターを差別化するために
ワープスの判定システムには、いわゆる「一般技能判定」というものがない。戦闘技能は存在するが、それ以外の全ての判定をこの能力値による判定で行う。そんなルールシステムでプレイヤーに助け舟を出すための能力値が複数存在するのは、セッションが進まなくなった時のための救済手段として意図されていたからだろうか。
私は恐らく違うと思う。ワープスにはヒーローポイントという、もっと劇的で単純な救済システムが存在する。セッションが行き詰まった時のことだけを考えるなら、ヒーローポイントを強化してしまう方が簡単だ。それを、わざわざ能力値を増やしたのは何故か。
ルールブックの端々から見えるデザイン思想を思うに、これも決断力や抑制力と同様、「プレイヤーとPCは別の存在であるという、差別化を図るための方策だった」のだと考える。プレイヤーが忘れていても、PCはそうとは限らない。プレイヤーが気付かなかったとしても、PCもそうとは限らない。そう考えると、何故これらの能力値がPCの内面を表すものばかりなのかもわかる。PCの肉体的な能力については、そもそもプレイヤーとPCの差別化が問題となること自体が起き得ないからだ。
プレイヤーに不利に働く、決断力と抑制力。有利に働く、判断力と記憶力。この4つの能力値が、プレイヤーとPCを別の存在として分け隔てる、WARPSが用意した「仕掛け」だった。
……と、つらつらと書いてきたが、ここまで書いたことは私の推測である。というのは、WARPSのルールについての考察は、どうしても推測に頼らざるを得ない部分が大きいからだ。
それは何故か。次回は「SNEや後のFEARと、WARPSをデザインしたORGの最大の違い」について語りたいと思う。