豪鬼のバックジャンプ斬空波動拳のヤバさを、これだけ簡潔な言葉で表せるというのは、さすがプロだと思った。経験的にヤバいというのを知ってはいるものの、理屈を整理できないというか、説明するのになかなかうまい言葉が見つからない、ってなるんだけど、一言で言うならどぐらさんのいうとおり「後退行動にリターンのあるのがヤバい」っていう話なんだよね。
この動画自体はそこから話が発展していくので、直接の続きというのはないけれども、豪鬼のバックジャンプ斬空波動拳を見た時「ギースの疾風拳とどこが違うのか、似たようなものじゃない」と思った人もいるのではないだろうか。
実はこの二つはかなり違う。特に餓狼伝説スペシャルのギースの疾風拳と、スパ2Xの豪鬼の斬空波動拳はかなり事情が違う。
斬空波動拳の大きな特徴の一つは「斬空波動拳を打ってもジャンプの軌道が変わらない」ところだ。だから、例えばバックジャンプしながら斬空波動拳を撃ったところで、着地そのものは斬空波動拳を撃っていない時と変わらない着地となる。
これに対してギースの疾風拳は、撃った地点からもう1回大きくジャンプし直すような形になる。ギースのジャンプ自体が鋭いものではなく、ふわっとした着地を狙われやすいタイプなので、疾風拳を撃つと、その瞬間は確かにギースに有利になるものの、不利な時間がかなり長く続く。だから読まれてガードされると、大きなリスクがある。
後はやっぱり、昨日「餓狼伝説の大きな特色はライン移動だ」と書いたことにも関連があるが、疾風拳はライン移動システムが存在するのが前提の技と感じる。クラウザーのカイザーウェイブのような、当たり判定がめちゃくちゃ大きくて、ジャンプで飛び越すことも難しい飛び道具などと似たような位置づけだ。
さらに餓狼伝説には避け攻撃もあるから、対戦相手が打つ手はいくつかある。これに対して豪鬼の斬空波動拳は、対戦相手からすると、少なくともスパ2Xだとフロントステップもバックステップもなく、もちろんダッシュもない。ジャンプが何種類もあるわけでもない、というわけで、斬空波動拳に対処する術がないのだ。その意味で、「空中で斜め下に向かって飛び道具を撃つ」という意味では斬空波動拳とギースの疾風拳は非常によく似ているが、実際のゲーム内での価値というのは全く全然違うものになっていると思う。