未来が見えない


 アイドルマスターのファンを公言し、またにじさんじというグループの1期生としていろいろなものを積み上げてきた委員長が言うと重みが違うな……。
 私自身の印象を言うと、前に格闘ゲームのヴァンパイアの時にも誰かが言ってたと思うんだけど「売れたら次を作ります、売れなかったら次は作りません」「売れなかったら Vtuberを引退させます、それはファンであるあなたたちのせいです」と責任をユーザーに転嫁する姿勢は好きではない。ビジネスとして考えればそれは当然ではあるが、それを公言するというのがコンテンツを人質にとっているように見える。
 ヴイアライヴに関していえば、そのどれかのVtuberを推しているにも関わらず引退すると決まってしまったら、それはファンが悪かったという話になってしまう。「いや、それはファンが悪いんじゃなくて、単にそういう経営判断をしたコンテンツ提供側の問題でしょう?」っていう。なんかこう昔ちょっと話題になった「クラウドファンディングでお金が集まらなかったら子猫を助けません」みたいなそういうのに近しいものを感じる。
 また、気になっているのが、テンポ感が遅いのではないかということ。前に星街すいせいが「Vtuberにとっての1週間は1ヶ月にも等しい」と言ってたことがあって、本当にこの業界スピード感が速すぎるって思ってるんだけど、この結果を出すまで1年間っていうのは、 Vtuberを展開するテンポとして果たして正しい時間感覚なのか、っていうのは疑問がある。



 トップを挙げるのは問題があるかもしれないけれども、例えばホロライブの6期生は1年で70~90万人登録者を集めており(本当のトップ、がうるぐらなら300万人だが……)、オリジナルソングも出し、ライブをやり、テレビにも出演し、ゲームコラボも数々こなしている。良いか悪いかは別として、つまりそれぐらいの時間感覚の話だということだ。
 これはいずれ別の話で書こうと思っていたのだけど、既存のコンテンツに対するVtuberの優位性というのは、この「時間占有率の高さ」だと私は思っている。純粋な時間換算でいうと、既存のコンテンツでは一切太刀打ちできない。アニメだろうがゲームだろうが、1日に3時間も4時間ものめり込めるコンテンツを、1年間ぶっ続けで提供することは不可能だ。これは、動画提供型のVtuberが生配信型のVtuberに取って代わられた理由でもある。
 話を戻すと、ヴイアライヴのVtuberが既存のVtuberのように、生配信を中心に毎日のようにコンテンツを提供していくなら、そして1年間それを続けていくつもりであるなら、1年後のリスナーとの関係性は「はい、引退です」を簡単に受け入れられるような状況にはなっていないだろう。逆にそれをするつもりがないなら、既存のVtuberに対して勝ち目がない。落としどころが見えないのだ。
 また、ヴイアライヴが他とコラボしやすいように見えないのも、活動のビジョンが見えてこない理由の一つだ。相手がアイマスファンのVtuberであっても、例えばヴイアライヴのVtuberが、委員長に納豆を食べさせられたり、ういママに燃やされたりする姿を想像できるだろうか?