地図フィーバー


 というわけで、宝の地図の話なのだが、ドラクエウォーク界隈は今ちょっとしたお祭り状態になっている。宝の地図の実装までは、自分以外のドラクエウォークプレイヤーの動静は、時々パーティーで一緒になる助っ人キャラとメガ・ギガモンスターぐらいでしか掴みようがなかったけれど、宝の地図の実装によってこんなにたくさんのプレイヤーが積極的に活動していたのかと改めて驚いている。
 そもそも、この宝の地図の実装そのものが、単にドラクエ9を回顧してこのシステムを実装したというのみならず、ドラクエウォークの大きな課題の1つをこれでクリアし、1つのコンテンツとして昇華しているというなかなか秀逸なアイディアだ。

 前々からあちこちで話題になっている、ドラクエウォークの新規プレイヤーと既存プレイヤーの格差の話だが、レベル上げについては頑張ればいつか追いつけるけれど、モンスターの心問題は解決が難しかった。特定のイベントで配られた期間限定の心、特定の場所に行かなければいけない地域限定の心、特に前者については能力的にも優秀なものがかなり含まれていて、それらを入手できないことそのものが、一種の格差につながってしまっていた面がある。これを解消するしようとすると、復刻イベントを開催するくらいしかないんだけど、すでに持っているプレイヤーにとっては新規イベントをやってほしいという話になるだろう。さりとて前回のイベントのように新規イベントの最中に復刻の心を取らせようとすれば、持っていないプレイヤーからするととても手が回りきらない。そんなわけでこれは大きな課題だったわけだが、それをこういった手段で解決してくるというのは予想外だった。

 今のところ、宝の地図ではメガモンスターとストーリーの最新章、それと最新の祠を除く全てのモンスターが復刻していると予想されている。メガモンスターに関しては戦うのにジェムを必要とするなど、課金要素に関わってくるので、そこはこの手段では緩和しないということなんだろう。逆にいえば、それ以外のコンテンツで追加されたものについては、例え取り逃すことがあっても宝の地図で入手できるという救済手段ができたわけだ。個人的には、正直言って「ここまで緩和していいのか」と思うくらい緩和されたので、ちょっと驚いている。まさかキラーマシン2とスライムジェネラルまで宝の地図にいるとは……。特にキラーマシン2については、実装コンテンツの手順が煩雑ということで評判が良くなかったが、このような手段で緩和されたことで、逆に当該宝の地図の価値が高騰してコミュニティがお祭り騒ぎになるという現象が発生している。



 しかもこの救済手段は、その優先度やプレイペースがプレイヤー自身に委ねられており、あくまでも自分自身に足りないものを自分自身で選ぶことができる。その入手が簡単かどうかも、運営が決めるのではなく、プレイヤー全体のコミュニティにおいて需要が高いか低いかによって自然と結果が出ることになる。ここ数日の動静を見ていても、強力かつ必須なモンスターの心については噂になってから数日で出回る。逆に趣味で集めているようなモンスターの心については、見つけるのはなかなか大変だ。
 ドラクエウォークで大きな課題の一つだった、モンスターの心に関する格差問題の解決を、プレイヤー間のコミュニティに委ねることによって、ドラクエウォークならではの外を出歩く要素に繋げつつ、新しいコンテンツを1つ作り出す。マイナス要素をプラスに変換するという発想は、非常に素晴らしいものだ。これによって他のコンテンツの寿命がどうなるかとか、あるいは今後宝の地図というコンテンツ自体がどれぐらい続くのかとか、そういった問題は後々出てくるかもしれない。しかしとりあえず今のところ、ドラクエウォークという運営開始から数年経ったゲームに、新風を吹かせることには成功していると思う。