情報収集に失敗したらどうする?


 今回もなかなか興味深い話だった。この「情報収集判定をどうするか」というのは、昔から割と話題になっていたので、私のブログでも様々な角度から過去にも触れてきた話題である。
 まず、FEARのTRPGの中で最初に情報収集判定をシステマティックに解決したのは、トーキョーNOVA・ザ・レヴォリューションというトランプを使うゲームだった。



 この判定自体、トランプというランダマイザと非常に相性が良かった。なぜ相性が良かったかについては前のエントリで書いたことがあるが、簡単にいうとトランプが「ランダマイザであると同時に、手持ちのリソースを消費するという役割も併せ持つから」ということになる。上の動画でも、問題にしているはNOVA以外、つまりトランプ以外のランダマイザを使うゲームについてだ。
 ダイスをランダマイザとして使うゲームだと、判定時にリソースを消費するわけではないので、失敗しても再チャレンジできるのであれば、成功するまでやり続ければいい。そうなると、判定する意味がない、という話だ。これが戦闘シーンの判定とどこが違うかというと、戦闘は失敗すると相手から危害を加えられるという状況にあるので、即座にリスクが生じる。情報収集判定だと、失敗してもその場でリスクが生じるわけではない、というのが大きな違いだ。逆にいうと、情報収集判定をトーキョーNOVAの社会戦のような形で解決するなら、負ければ社会的抹殺に追い込まれるわけで、プレイヤーとしてはリスクを支払うことになる。

D&Dの頃は……


 私は原体験がクラシック・ダンジョンズアンドドラゴンズなので、どうしてもそれをベースに考えてしまうのだが、前に書いたようにマジックユーザーやクレリックはリソースを消費して呪文を唱えるのに対し、シーフは成功率こそ設定されているものの、リソースを消費して能力を発揮するわけではない。つまり今回の話でいう情報収集判定と同じ状況である。
 ちなみにダンジョンズ&ドラゴンズにおけるマジックユーザーとクレリックのリソースは、例えばソード・ワールドなどのリソースに比べると制約が厳しい。MPを消費する形ではなく、レベルごとに存在する個別の呪文スロットを消費する形だからだ。例えば、死者から情報収集するために映画でお馴染みのスピークウィズデッドの呪文を使いまくれば、そのレベルのスロットはあっという間になくなり、他のレベルのスロットが残っていたとしても使えなくなる。
 魔法使い呪文はもっと厳しく、特定の魔法を使ったら翌日になるまでその呪文は魔法の書から消えてしまうので、例えばウィザードロックを使って扉を開けたら、二枚目の鍵付き扉が出てきたら、翌日にならないと呪文で状況を打破することはできない。これがソード・ワールドなどではMPという共通リソースを使う上に、その回復もそれほど難しくないので、戦闘時以外だと貴重なリソースを切っているという印象は少なくなる。
 そして、リソースが貴重であればあるほど、失敗の可能性はあるものの何のリスクもないシーフ技能との差異が目立つことになる。

シティアドベンチャーだからキツい

 とはいえ、CD&Dで迷宮探検をしている時には、シーフ技能の特性はさして問題になっていたイメージはない。それがなぜシティアドベンチャー等の情報収集判定では問題になるのか。迷宮探索においてシーフが判定失敗するリスクはどこにあるかというと「財宝が手に入らない」という形だ。つまり多くの場合、プレイヤーたち自身が損をするというデメリットがある。しかし、宝箱に入っているのがシナリオのキーアイテムだ、という状況でもない限り、話が進まないわけではない。
 これに対し、情報収集判定はそれ自体がセッションを進行するためのギミックであるため、プレイヤーたちがプライズを入手できないと、話自体が進まない。かつてダンジョンズ&ドラゴンズのシーフが鍵開けに失敗すると罠によるダメージを受けていたことを考えると、判定に失敗したらヒットポイントにダメージを受けるというのも理屈としてはわからなくはないものの、イメージは掴みにくい。
 「成功しても失敗しても情報は手に入るが、失敗したらペナルティがある」という言い方ではなく、例えば「曲がり角の向こう側に敵が待ち受けており、向こう側を伺って情報を得る」という状況で「成功すれば相手に気づかれずに向こう側を観察でき、失敗すると観察はできるが相手に気づかれ、攻撃がかすって負傷する」とか、そういうケースであれば、成功と失敗の差のイメージもできなくはないが……。

ダブルクロスの場合、ブレカナの場合


 では、私自身はどのようにマスタリングするように心がけていたか。ダブルクロスについては書いたことがあるが、ダブルクロスでは情報収集に失敗した場合、単純に次のシーンで情報収集を続けることにしていた。これによって、PCは登場するシーンが多くなることで侵食率が上がるというリスクを引き受けることになる。よって、失敗すればするほどジャームになる危険が増すということになるので、単純に「失敗したら何度でもやり直せる」ケースとは異なる。



 ブレカナも似たような形で、判定に失敗すると殺戮者の正体を探るための手がかりとなる「悪徳」に出会う回数を増やし、結果的に「情報収集判定に失敗するほどDPが減る」という形でバランスをとっていた。しかし、ブレカナはダブルクラスほどはうまく回っているようには見えず、実際にセッションで試したのは数回だったと思う。
 どこが違うかというと、ダブルクロスは情報収集に失敗してシーンの数が増えると、その分侵食率が上がってジャームには近くなるけれど、同時に判定値も上がり、クリティカル値も下がる。だからプレイヤーとしてはリスクもあるが、チャレンジするほど成功率が上がるというメリットもある。ところがブレカナの場合は、何回挑戦しようとも成功率が上がるわけではないので、プレイヤーとしてはリスクのみを引き受け、そして次に成功するという保証はどこにもない。極論すれば、プレイヤー全員のダイス運が極端に悪い場合は、PC全員が殺戮者になるまで情報収集が終わらない可能性もゼロではない(天文学的に低いが……)。トーキョーNOVAは判定に失敗してカードを捨てれば、より状況に見合ったカードが入手できる可能性があるので、ダブルクロスと同様、失敗するほど成功率が上がる仕組みといえる。
 ちなみにこの処理だと、動画で話題になっているオペレーションについては、基本的に「全員がリスクを負う」形である(シーン登場による浸食率の上昇も、悪徳によるDPの減少も、基本的にはPC全員が回避不能だからだ)。

 私の採っていた方法が最善の正解とは自分でも思っていないが、メリットとしては、あくまでもルールに書かれた範囲での裁定に収まっているため、プレイヤーから異論が上がりづらいことだと思っている。実際、セッション中に問題になったことはない。逆にデメリットとしては、アリアンロッドのように「情報収集をひたすら続けることに何らデメリットがない」作品だと、あまり参考にならないことだ。
 いずれにしても、シティ・アドベンチャーにおける情報収集判定において、どのように判定失敗のリスクを負わせ、どのような演出で整理するのかについては、タイトルを問わず多くのGMが頭を悩ませていることだろう。個人的には、情報収集項目が少なければ、FS判定のような形で解決するのも一つの方法かな、とは思っているのだが……。